うつにっき -うつ病の治療きろく-

うつ病の治療や過去の振り返り、新しい生き方の模索などを記録していくブログです。

休職から復職へのハードル

 先日、うつ病で休職している友人から、復職についての相談を受けました。3カ月ほど仕事を休んでいたものの、現時点では復職への目途は立っていない状況です。

 本人は復職できる程度にまで元気になったと主張しているものの、医師からはまだ復職はできないと言われて、少しショックを受けているようで、なかなか復職できないことに焦りもあるようでした。

 生活リズムもある程度保てていて、趣味(スポーツ)は相当程度こなせているようです。それだけに復職できないこともショックでしたし、そのまま休職したまま趣味をすることも精神的にかなり辛いと言っていました。

 私が本人と話して感じた印象は、少しは元気になったとは思うけれども、寛解に至っているとは言い難く、うつ病を発症した以前の環境に戻された場合、周りが配慮したとしても、十分なパフォーマンスは発揮できないように感じました。 

 ましてや、人間関係が原因でうつ病を発症している以上は、周りの配慮もいつまで続くのか、どの程度配慮してくれるのかも怪しいところです。また、人間関係以外の面では負担が軽い部署なので異動させれば解決という訳でも無く、本人は異動になっても不安が大きいと感じているようです。

 ごく親しく話しやすい人と少し話したり、ゆっくりしたペースで日常生活が送れているだけで、話をする中での受け答えにも精神的な脆さや仕事に対しての不安が相当強いことを感じました。

 職場に迷惑を掛けてしまっていて、これ以上休んでいては更に居場所が無くなっていくという気持ちが強いようです。

 この気持ちは十分にわかるつもりです。日々何も出来ずに休んでいることがどれだけ辛いことか。実際のところは、同じ部署でもない限りは誰かが休んでいて迷惑が掛かっているなんて思う人はそうそういないというか、そんなこと考えている余裕も無いですし、同じ部署の人でも、確かに一定の負担が発生して大変というのもあるものの、多くの場合は純粋に心配してくれていたりするもんです。

 こういった部分は、うつ病になるまでの人間関係や信頼が大きく影響します。あの人がこんなことになるぐらいだったら大変な状況だったに違いないとか、どうせあの人はいつもあんな感じで逃げてるでしょとか、決めつけに近い評価をする人はかなり多いです。

 本人が十分に回復したと思っていても、実際にはまだまだ回復していなかったり、再発のリスクが高かったり、パフォーマンスを以前のように発揮できなかったりするケースは多く、それでまた休職となれば、職場にとっても本人にとっても辛い結果になってしまいます。

 医師からは趣味に逃げているという指摘もあったようです。私の目から見ても、確かにそのように感じる部分もありました。趣味をしている時はとても休職している人間には見えません。ある程度回復してきて、興味を持てることをこなせるようになってきたら、現実と向き合いながら厳しいリハビリをして、仕事に適応していく努力も必要になります。

 このことは精神疾患や障害を抱えておられる方のブログを読んでいてもよく感じることです。再発防止や回復が最優先なのは言うまでもないですが、治療と甘えの境界線がおかしくなっているんじゃないかと思うことがあります。

 いろんなところで、精神障害者の雇用制度が整備されていないのが間違っているとか、そういった意見も見聞きしますが、実際は雇用制度が整備されたところで、障害者雇用であろうと、そうでなかろうと、基本的には賃金に見合ったパフォーマンスが出せない場合は、精神的には非常に辛い立場に立たされると思います。

 それをどうにかするためには辛くても病気や障害を抱えながらも工夫や努力をして、そのギャップを埋めていく必要があります。

 急性期にある方は休養が全てにおいて優先されますが、それを抜けて回復期にある方で休職している場合は、そのことに向き合えない事には前には進めないようにも感じます。

 甘えなのか、本当に無理なのか、傍から見ていても実際のところはわかりません。でも、本人さえもわからなくなってしまうケースも多々あるんじゃないかと感じています。もちろん、逆に本当は無理なのに、本人が甘えだと思って無理しちゃうケースも多いと思います。

 職場にも受け入れ態勢を整備してもらってハードルを下げることも重要ですが、今の自分の状態を把握して、受け入れて、少しずつハードルを飛び越えられるようにリハビリをしていくことの両面が復職を成功させるためには必要だと感じています。

 私自身もまだ復職が成功したと言えるほどの期間も経っていなければ、十分に回復したわけでも無く、治療もまだまだ長い期間続いていくと思います。

 友人とは綿密に連絡を取りながら、意見を押し付けることなく、一緒に考えていけたらなと思っています。