SOC(Sense of Coherence、首尾一貫感覚)について
今読んでいる本の中に、ストレス対処能力としてSOC(Sense of Coherence、首尾一貫感覚)という言葉が出てくるのですが、少し紹介したいと思います。
ストレス対処能力「SOC」とは何か | コラム | お知らせ | マーケティングリサーチ、コンサルティングの日経リサーチ
ユダヤ系アメリカ人のアーロン・アントノフスキー博士が、第2次世界大戦中のナチスドイツの強制収容所から生還したユダヤ人女性に対して調査をした結果、3割の人が健康障害もなく過ごしていることが判明し、それらの人々がなぜ健康を保ち続けているのかについて追及したところ、SOC(Sense of Coherence、首尾一貫感覚)が高い人たちだったそうです。
SOC(Sense of Coherence、首尾一貫感覚)とはストレスに直面した時に、そのストレスをやわらげる能力であり、3つの構成要素があります。これらが高い人は問題や困難に対して前向きに取り組めることができるという特徴があるそうです。
1つめは「把握可能感」です。職場を含めた自分の生活環境が予測できる、納得できるという感覚です。私の場合は以前は予定調和のように思い通りに人生が進んでいくという感覚さえ持っていましたが、うつ病になってからはそれが全くなくなってしまいました。
2つめは「処理可能感」です。どんな問題や状況であっても、何とかなる、処理できる、という感覚です。これも以前は他の人が出来るなら自分にもできる、今はできなくてもやっているうちにできるだろうという感覚があり、むしろ自信過剰でさえあったように思うのですが、今はやる前から不安が非常に強い状態です。
3つめは「有意味感」です。自分の人生にやりがいや意義を感じられる感覚です。これについても以前は人生7割満足ならOKという価値観を持っていて、そんなに贅沢はできない収入でも、自分のやりたいことは大抵はできて、欲しいものは大抵買えて、人間関係も不器用な面がありながらも、非常に楽しく、忙しい日々を送っていました。他の人と人生を代われるとしても絶対に代わりたくないとさえ思っていました。今は、いろんなものが崩れしまって、再び一つずつ積み上げて行くような段階で、こんな状態になっても周りに人がいてくれて、生活ができるのはありがたいと思いながらも、とても日々が楽しい、やりがいがあるというレベルではありません。
ここまで書いて、私自身はうつ病になる前の環境や状態では決してSOCは低くなかった、もしくは十分に対応できる環境だったのだと思います。
ただ、この数年の間に、結婚、2度の昇進、異動、妻の妊娠・出産、父親の脳梗塞など、私を取り巻く責任、環境、役割、時間や経済的余裕などは大きく変わりました。これらの変化によるストレスに対応できず破たんしてしまったんだと思います。
うつ病の回復には上記の3つの感覚を取り戻す必要があるように感じています。主治医の診察で受けるアドバイスからも似たようなものが多いです。
具体的にこれをやればという方法は無く、手探りで取り組んでいくしかありませんが、これらの3つの感覚を意識しながら日々を過ごしていきたいです。